気胸は遺伝する?家族に気胸の人がいるときに知っておきたい遺伝性の病気【気胸5回以上の経験者が解説】
こんにちは!気胸くんです。
「親やきょうだいが気胸になったけど、自分もなるの?」「気胸って遺伝するの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
私は18歳で気胸になり、再発を5回以上くり返して、胸腔鏡手術を2回受けました。気胸になると、原因が気になる方も多いと思います。
本記事では
・気胸は遺伝するのか(公的な情報でわかっていること)
・気胸を起こすことがある遺伝性の病気(BHD症候群・マルファン症候群など)
・家族に気胸の人がいるとき、受診のときに伝えておきたいこと
・遺伝に関係なく、気胸で気をつけたいこと
を、気胸を5回以上経験した気胸くんがお話しします。
この記事は公的機関や専門の情報サイトの内容をもとにした一般的な情報です。遺伝の病気かどうかは、記事だけでは判断できません。気になるときは、自己判断せず、主治医に相談してください。
結論:多くの気胸は「遺伝の病気」ではないが、遺伝が関わる気胸もある
先に結論をお伝えすると、いちばん多い自然気胸は、親から子に必ず伝わる「遺伝の病気」とはされていません。ただし、遺伝的な体質が関わると考えられていることや、まれに遺伝性の病気が原因で気胸が起こることがあります。
・日本呼吸器学会によると、最も多いのは自然気胸で、10〜30代のやせ形の男性に多い
・MSDマニュアル(プロフェッショナル版)では、自然気胸のもとになる肺の表面の袋(ブラ・ブレブ)は、喫煙によってできたもの、または遺伝的にもっているものと考えられている
・BHD症候群・マルファン症候群・血管型エーラス・ダンロス症候群・結節性硬化症など、気胸を起こすことがある遺伝性の病気がある
・気胸をくり返す人や、家族にも気胸の人がいる場合は、BHD症候群の可能性を考える必要があるとされている
つまり、「家族が気胸だから自分も必ずなる」というわけではありません。一方で、家族に気胸の人がいることは、医師にとって大切な情報になることがあります。
気胸のいちばん多い原因(肺の表面の袋が破れること)については、こちらの記事でまとめています。
》気胸の原因は?ストレス・タバコ・咳・運動との関係と、女性の気胸
気胸を起こすことがある遺伝性の病気
気胸を起こすことがある遺伝性の病気として、公的な情報や専門の情報サイトで説明されているものを紹介します。どれも、気胸になった人の多くに当てはまるものではありません。
BHD症候群(バート・ホッグ・デュベ症候群)
BHD症候群は、肺・皮膚・腎臓に症状が出る遺伝性の病気です。診断・治療・遺伝の相談などに対応している専門のチームの情報サイト「BHDネット」では、次のように説明されています。
・肺:多発性の嚢胞(のうほう)と、くり返す気胸。肺の嚢胞は、CT検査を受けると9割以上に見つかる
・皮膚:頭や首、上半身に、数mmの小さなぶつぶつ(線維毛包腫)ができる。にきびや小さないぼと思いこんでいることもある
・腎臓:中高年の患者さんの3割程度に腎腫瘍ができ、複数できたり両側にできたりすることが多い
・責任遺伝子は17番染色体にある(FLCN遺伝子)
同じサイトでは、気胸をくり返す人や、家族にも気胸の人がいる人では、BHD症候群の可能性を考えなければならないとしています。また、最初は「家族に気胸の人はいない」と思っていた人でも、あとで家族に話を聞くと、気胸や皮膚のできものがあったとわかることがよくあるそうです。
腎臓の腫瘍は、定期的な検診で早く見つけて治療できれば、経過はよいとされています。気胸だけでなく腎臓のことも関わるので、心当たりがある方は主治医に相談してみてください。
マルファン症候群
難病情報センターによると、マルファン症候群では、肺に穴があく気胸が起こることもあるとされています。常染色体顕性遺伝という遺伝のしかたで、マルファン症候群の親から子どもに伝わる確率は50%と説明されています(国の指定難病)。
エーラス・ダンロス症候群(血管型)
難病情報センターによると、エーラス・ダンロス症候群のうち血管型では、動脈の病気や臓器の破裂とならんで、気胸が重い合併症として挙げられています。血管型も常染色体顕性遺伝とされ、頻度は5万人に1人と書かれています(国の指定難病)。
結節性硬化症とリンパ脈管筋腫症(LAM)
難病情報センターによると、結節性硬化症は遺伝子の変化で起こり、常染色体顕性遺伝を示す病気です。ただし、患者さんの60%以上は、両親を調べても症状が見つからないとされています。肺の症状として、くり返す気胸で見つかることもあります。
リンパ脈管筋腫症(LAM)は肺の病気で、経過中に半数程度の人が気胸を経験し、一度起こると7割程度に再発がみられるとされています。LAMには、結節性硬化症に合併するものと、単独で起こるもの(孤発性LAM)があり、孤発性LAMは遺伝するとは考えられていません。
遺伝性の病気かどうかは、症状や画像検査、家族の病歴などから医師が判断します。この記事を読んで「自分も当てはまるかも」と心配になった方も、自己判断せず、まずは主治医に相談してください。
家族に気胸の人がいるとき、受診のときに伝えておきたいこと
気胸で受診したときや、気胸をくり返しているときは、次のようなことを医師に伝えておくと、原因を考える手がかりになります。
・親やきょうだいなど、家族に気胸になった人がいるか
・自分が何回気胸になったか(くり返しているか)
・家族に腎臓の腫瘍や、皮膚の小さなできものがある人がいるか
・家族にマルファン症候群など、遺伝性の病気と言われた人がいるか
・タバコを吸っているか
家族の病歴は、本人が知らないこともよくあります。BHDネットでも、あとから話を聞いて家族の気胸がわかることがあると書かれていました。気になる方は、受診の前に家族に聞いておくと安心です。
遺伝のことが心配なときは、主治医に相談してみてください。遺伝の相談(遺伝カウンセリング)ができる医療機関もあります。BHDネットでも、専門医による診療や遺伝カウンセリングを希望する患者さんや家族に、医療機関の紹介などを行っているとしています。
BHD症候群の原因の遺伝子(FLCN遺伝子)を調べる検査は、保険がきかない自費の検査として行われています(2026年11月時点のBHDネットの情報)。検査を受けるかどうかは、主治医や専門の医師とよく相談して決めてください。
気胸の症状や、何科を受診すればよいかは、こちらの記事でまとめています。
》気胸の初期症状と受診の目安|何科に行く?救急車を呼ぶべき?
遺伝に関係なく、気胸で気をつけたいこと
家族に気胸の人がいてもいなくても、気胸で気をつけたいことは同じです。
タバコは吸わない
MSDマニュアルでは、自然気胸のもとになる肺の袋は、喫煙によってできることもあると考えられています。また、家庭版では、気胸は40歳未満で背の高い男性、なかでも喫煙者に最もよくみられるとされています。体質は変えられませんが、タバコは自分で避けることができます。
気胸は再発することがある
MSDマニュアル(家庭版)では、気胸は大半の人が完全に回復する一方で、最大で30%の人に再発がみられるとされています。遺伝性の病気がなくても、再発は珍しいことではありません。
私も、1回目の手術から約1ヶ月で再発しました。以前と同じような息苦しさや胸の痛みがあれば、我慢せずに受診してください。急に息苦しさが強くなっていくときは、迷わず救急車を呼んでください。
》【気胸の再発体験談】手術後1ヶ月で再発、5回以上くり返した私が伝えたい前兆と対処法
気胸になりやすい人の特徴は、こちらの記事でまとめています。
よくある質問
Q. 親が気胸だと、子どもも気胸になる?
多くの自然気胸は、親から子に必ず伝わる病気とはされていないので、「親が気胸だから子どもも必ずなる」わけではありません。ただし、遺伝的な体質が関わると考えられていることや、まれに遺伝性の病気が隠れていることもあります。子どもが気胸になったときは、親の気胸のことも医師に伝えてください。
Q. きょうだいで気胸になるのは、遺伝?
きょうだいで気胸になったからといって、遺伝の病気とは限りません。ただ、BHDネットでは、家族にも気胸の人がいる場合はBHD症候群の可能性を考える必要があるとしています。受診のときに伝えておきましょう。
Q. 気胸の遺伝子検査は受けられる?
BHD症候群の原因の遺伝子(FLCN遺伝子)を調べる検査は、保険がきかない自費の検査として行われています(2026年11月時点)。検査を受けるかどうかは、主治医や専門の医師と相談して決めてください。
Q. 気胸をくり返すのは、遺伝のせい?
気胸は、遺伝性の病気がなくても再発することがある病気です。ただ、BHD症候群やリンパ脈管筋腫症(LAM)などでは、くり返す気胸がきっかけで病気が見つかることもあります。くり返すときは、主治医に相談してください。
まとめ
気胸と遺伝についてまとめると、
・多くの自然気胸は、親から子に必ず伝わる「遺伝の病気」とはされていない
・ただし、肺の表面の袋(ブラ・ブレブ)は、遺伝的にもっているものもあると考えられている
・BHD症候群・マルファン症候群・血管型エーラス・ダンロス症候群・結節性硬化症など、気胸を起こすことがある遺伝性の病気がある
・気胸をくり返す人や、家族にも気胸の人がいる人は、そのことを医師に伝える
・遺伝に関係なく、タバコは吸わない。再発のサインがあれば早めに受診する
でした。
家族に気胸の人がいると、「自分も」と不安になるかもしれません。心配なことは一人で抱え込まず、主治医に相談してみてください。
気胸の体験の全体は、こちらの記事でお話ししています。
》【気胸の体験談】18歳で発症、再発5回以上・手術2回。ドレーン・入院・手術のリアル
気胸くん
気胸に苦しめられてきた体験談&克服法を健康管理士の気胸くんが教えます。
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