気胸で飛行機に乗れる?いつから乗れるか・乗れない理由と、機内で症状が出たときの対応【気胸5回以上の経験者が解説】
こんにちは!気胸くんです。
「気胸になったけど、飛行機に乗っても大丈夫?」「旅行や帰省、出張の予定があるけど、いつから乗れるの?」と心配になっている方も多いのではないでしょうか。
私は18歳で気胸になり、再発を5回以上くり返して、胸腔鏡手術を2回受けました。当時は地方から関東の大学に進学して一人暮らしをしていたので、入院のときは、実家の親が飛行機で関東まで来てくれました。
本記事では
・気胸のときに飛行機に乗れない理由(機内の気圧)
・気胸のあと、飛行機はいつから乗れるのか(ガイドラインの目安・手術後)
・飛行機に乗る前に確認したいこと(主治医・航空会社)
・機内や旅行先で「気胸かも」と思ったときの対応
・登山やスキューバダイビングはどうか
を、気胸を5回以上経験した気胸くんがお話しします。
この記事は病院や航空会社の公開情報をもとにした一般的な情報です。飛行機に乗れるかどうかは、気胸の状態によって変わります。予定がある方は、必ず主治医に相談してください。
結論:気胸が治りきっていないうちは、飛行機に乗れない
先に結論をお伝えすると、気胸になっている状態や、気胸の可能性がある状態では、飛行機に乗ることはできません。国立病院機構 埼玉病院の呼吸器外科のQ&Aでは、次のように説明されています。
・搭乗するときに、気胸の可能性がある、または気胸の状態である人は飛行機に乗ることはできない
・気胸の治療の直後で、まだ安定していない(再発の可能性が高い期間中の)場合は、搭乗は控えたほうがよい
・過去に気胸になったことがあっても、搭乗するときに気胸が完治して安定しているなら、飛行機に乗ることは問題ないと思われる
つまり、「一度気胸になったら、もう一生飛行機に乗れない」というわけではありません。大切なのは、乗る時点で気胸が治っていて、安定しているかどうかです。それを判断できるのは主治医なので、飛行機の予定がある方は早めに相談してください。
気胸の治療法や治療期間については、こちらの記事でまとめています。
》気胸の治療法と治療期間・入院期間はどのくらい?安静・ドレーン・手術の違い
気胸で飛行機に乗れないのはなぜ?機内の気圧と肺の関係
気胸のときに飛行機がよくないのは、上空の機内は、地上より気圧が低いからです。
機内の気圧は、地上より2割ほど低い
埼玉病院のQ&Aによると、飛行機の機内は加圧されていますが、それでも地上より気圧が2割ほど低く、酸素の濃さも地上の80%くらいになっているとされています。ANAの公式サイトでも、飛行中の機内では気圧の変化が生じるので、病気やけががある方は事前に主治医と相談するようにと案内されています。
気胸のまま上昇すると、肺がさらにしぼむ
気胸は、肺から漏れた空気が胸の中(胸腔)にたまって、肺がしぼんでしまう病気です。同じQ&Aでは、気胸の状態で飛行機が上昇すると、機内の圧力が下がるにつれて肺はしぼんでいき、気胸は悪くなると説明されています。
ほとんどの気胸は、起きてすぐに命が危なくなることは少ないとされていますが、急に悪くなることも考えられないわけではないそうです。国際線などでは、すぐに緊急着陸できるとは限りません。また、機内には救急用の道具はあっても、気胸を治療するための器具はないようだとも書かれています。
機内の気圧の変化だけで、新しく気胸になるわけではない
一方で、同じQ&Aでは、旅客機の機内の気圧の変化(20%程度)そのものでは、新たに気胸を起こす(肺に穴があく)ことはないと考えられているとされています。飛行機が怖いのは、「気胸になっている状態で乗ったとき」や「機内で気胸になってしまったとき」です。
気胸のあと、飛行機はいつから乗れる?
ガイドラインの目安は「気胸が治ってから3週間」
埼玉病院のQ&Aでは、米国の航空医学の学会や英国胸部疾患学会のガイドラインが、次のように勧告していると紹介されています。
・気胸が治ってから3週間は飛行機に乗らない
・気胸を起こすおそれがある人は、手術など再発の少ない治療を受けてから飛行機に乗るべき
ただし、この推奨は科学的な根拠にもとづいたものではないとも書かれていて、どうするのがいちばんよいかは、今のところよくわかっていないそうです。「3週間たてば必ず大丈夫」という意味ではないので、目安のひとつとして考えてください。
手術のあとは「肺が安定しているか」しだい
手術のあとについては、同じQ&Aで次のように説明されています。
・搭乗のときに肺がしぼまない状態で安定していると判断できるなら、飛行機に乗ることは問題ないと思われる
・ただし、手術の直後に判断するのは難しく、しばらくは控えるほうがよい
・手術のあと、どのくらいの時期から乗ってよいかの目安は、よくわかっていない
また、同じQ&Aでは、手術のあと2年、とくに半年以内は再発が多い期間ともされています。私も、1回目の手術から約1ヶ月で再発しました。手術をしても、再発することはあります。
》【気胸の再発体験談】手術後1ヶ月で再発、5回以上くり返した私が伝えたい前兆と対処法
飛行機に乗る前に確認したいこと
気胸になったことがある方が飛行機に乗る前は、次のことを確認しておくと安心です。
・主治医に、飛行機に乗る予定があることを伝えて相談する(治療中・治療直後の方は特に)
・利用する航空会社に、搭乗の数日前までに問い合わせる
・出発前に、息苦しさや胸の痛みなど、気胸を疑う症状がないか確かめる。症状があれば、医療機関で気胸になっていないか確認してから出かける
航空会社への問い合わせと診断書
埼玉病院のQ&Aでは、航空会社はそれぞれ気胸のあとの搭乗について独自に基準を決めているので、搭乗の数日前までに問い合わせるようにとされています。搭乗できるかどうかや、必要な手続きを教えてもらえるそうです。
ANAの公式サイトでは、体の状態や機内で必要な医療行為、持ち込む医療機器、利用する航空会社によっては、診断書の用意をお願いする場合があると案内されています。機内で医療用の酸素ボンベなどを使う場合は、ANA所定の診断書が必要です(2026年11月時点)。不安な方は、ANAの「おからだの不自由な方の相談デスク」など、各航空会社の窓口に問い合わせてください。手続きや条件は変わることがあるので、利用する航空会社の公式サイトで確認してください。
私の場合:医師から飛行機について特に言われたことはなかった
私は、運動や飛行機について、医師から特に何か言われたことはありませんでした。ただ、気胸が治りきっていない状態での飛行機は避けるべきとされているので、気になる方は自分から主治医に聞いておくのがおすすめです。
出発前に確かめたい「気胸を疑う症状」は、私の場合、再発したときは息苦しさや息が吸えないような独特の感覚でした。初めて気胸になったときとほぼ同じ症状です。感じ方は人によって違うので、以前の気胸と似た症状があれば、出発前に受診してください。気胸の症状や受診の目安は、こちらの記事でまとめています。
》気胸の初期症状と受診の目安|何科に行く?救急車を呼ぶべき?
機内や旅行先で「気胸かも」と思ったら
機内では、客室乗務員に早めに伝える
埼玉病院のQ&Aでは、機内で気胸を思わせる症状が出て息苦しくなったら、「気胸を起こしたかも」と客室乗務員に早めに伝えるようにとされています。苦しいのをがまんして意識を失ってしまうと、気胸だと気づいてもらうのが難しくなります。気胸になったことがあることや、左右どちらの肺かも含めて、話せるうちに伝えてください。
機内でできる治療は限られていて、いちばんよいのは、早く地上に降りて医療機関に運んでもらうことだとされています。
旅行先や出張先では、飛行機で帰らずに近くの医療機関へ
遠くに出かけた先で気胸の症状が出たときは、飛行機での移動は避けて、まず近くの医療機関を探してレントゲン検査を受けるようにと、同じQ&Aで説明されています。国内なら、内科か外科のクリニックや病院で、たいていレントゲンを撮れるそうです。受診のときは、気胸の治療を受けたことがあり、再発を心配していることを伝えてください。
息苦しさが急に強くなっていくときは、迷わず救急車を呼んでください。
私は、再発をくり返していたころ、レントゲンでは「異常なし」と言われたのに、CTで肺の下のほうがつぶれているとわかったことがあります。「おかしい」と感じたら、遠慮せずに医師に伝えてください。
登山やスキューバダイビングは?気圧が変わるほかの場面
飛行機と同じように、気圧が変わる場面として、登山とスキューバダイビングがあります。
登山:ハイキング程度なら、気胸になっていなければ問題ないとされる
埼玉病院のQ&Aでは、歩くだけのハイキング程度の登山なら、登山の時点で気胸になっていなければ問題ないとされています。登山は飛行機と同じく気圧が低くなりますが、気圧の変化が数時間かけてゆるやかに起こる点が違うそうです。
ただし、途中で「気胸かも」と感じたらすぐに引き返せるようにしておくことが大切で、途中で下山できないような登山や、高山病になるような標高の高い山は避けるべきとされています。気胸になって間もない時期は、無理をしないでください。
スキューバダイビング:許可されないことがほとんど
スキューバダイビングは、さらに注意が必要です。同じQ&Aでは、気胸になったことがある人は、スキューバダイビングを許可されないことがほとんどと説明されています。
・水深わずか10メートルで、水圧は大気圧の2倍になる
・潜っている最中に気胸を起こすと、浮上が難しくなり、浮上するときに気胸が悪くなる
・スクーバダイバーのためのメディカルチェック・ガイドライン(日本語版RSTC)では、自然気胸は危険性が高く、命の危険を起こしうる病気とされている
・ダイビングをするときは、気胸などの病気の有無を申告する同意書を出す必要があり、気胸になったことがある人は断られることが多い
スキューバダイビングを考えている方は、必ず主治医に相談してください。運動全般の注意点は、こちらの記事でまとめています。
よくある質問
Q. 気胸になったら、もう一生飛行機に乗れない?
いいえ。搭乗するときに気胸が完治して安定しているなら、飛行機に乗ることは問題ないと思われる、とされています。乗れるかどうかは主治医に確認してください。
Q. 退院してすぐ、飛行機で帰省してもいい?
治療の直後は、まだ安定していないことが多く、搭乗は控えたほうがよいとされています。ガイドラインでは、気胸が治ってから3週間は乗らないよう勧告しています(ただし科学的な根拠はないとされています)。退院後の帰省や出張の予定は、退院前に主治医に相談しておきましょう。退院後の生活全般は、こちらの記事でまとめています。
》気胸の退院後の生活|仕事・学校への復帰はいつから?注意点と再発の不安
Q. 飛行機に乗ると、気胸になりやすい?
埼玉病院のQ&Aでは、旅客機の機内の気圧の変化そのものでは、新たに気胸を起こすことはないと考えられているとされています。ただし、気胸になっていることに気づかずに乗ると、上空で悪くなるおそれがあります。
Q. 台風や低気圧のときは、気胸になりやすい?
同じQ&Aでは、毎日の気圧の変化と気胸の起こりやすさの関係は、よくわかっていないとされています。強い台風でも気圧の変化は1割程度で、気胸との関係は研究者の間でも証明できていないそうです。
Q. ANAやJALで、気胸の人は診断書が必要?
航空会社ごとに基準があり、体の状態や機内で使う医療機器などによって、診断書が必要になる場合があります。搭乗の数日前までに、利用する航空会社に問い合わせてください。
まとめ
気胸と飛行機についてまとめると、
・気胸になっている状態や、その可能性がある状態では、飛行機に乗れない
・機内は地上より気圧が2割ほど低く、気胸のまま上昇すると肺がさらにしぼむ
・ガイドラインの目安は「気胸が治ってから3週間」(ただし科学的な根拠はないとされる)。手術のあとは肺が安定しているかしだい
・乗る前に主治医に相談し、航空会社にも数日前までに問い合わせる
・機内では客室乗務員に早めに伝え、旅行先で症状が出たら飛行機で帰らずに近くの医療機関へ
・スキューバダイビングは、気胸になったことがある人は許可されないことがほとんど
でした。
気胸になると、旅行や帰省、出張のたびに不安になるかもしれません。一人で判断せず、主治医や航空会社に相談して、安心して出かけられるようにしてください。
気胸の体験の全体は、こちらの記事でお話ししています。
》【気胸の体験談】18歳で発症、再発5回以上・手術2回。ドレーン・入院・手術のリアル
気胸くん
気胸に苦しめられてきた体験談&克服法を健康管理士の気胸くんが教えます。
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